軽井沢町長選挙 新人の土屋氏、現職ら破り当選
3期12年の藤巻町政が幕を閉じることになった。1月22日に行われた軽井沢町長選挙は、35年ぶりに現職と新人の4人が出馬することになり、町内外から多くの関心が寄せられた。争点となったのは、総額100億円を超える庁舎周辺整備事業や、自然・景観保護、現職の多選の是非など。投票の結果、新人の土屋三千夫氏(65)が初当選を果たした。
写真:1月22日夜、当選が決まり支持者と万歳する土屋氏(左から2人目)。
投開票日の1月22日20時半過ぎ、3回目の開票速報を受けた直後、土屋みちお選挙事務所に歓声が上がった。土屋氏は支持者の前に姿を現すと「喜びというより、ほっとした。皆さんの想い、希望を頂いた。これからは改めてこの重責を肩に担っていくので、気を引き締めていきたい」と挨拶。集まった支援者からは大きな拍手が沸いた。
藤巻氏、4期目実現ならず
前回2019年の町長選は、現職だった藤巻進氏と新人で元町議会議員の西千穂氏の一騎打ちだった。投票率44・61%で、藤巻氏は4902票を獲得して3選を果たした。今回の投票率は55・22%で、土屋氏が3995票を獲得。藤巻氏2599票、押金洋仁氏2452票、下田修平氏605票と続いた。藤巻氏は前回に比べ1300票強減らしたことになる。
落選が決まると、藤巻氏は支持者らに感謝を述べ「住民の皆さまの民意なので、しっかり受けとめたい」。敗因については、取材に「庁舎周辺整備事業の値段だけが強調された。自分自身は(庁舎周辺整備が)争点だと思っていなかった。夏は人が増える町のスケールを考えたら、高いとは思わない」と話した。
写真:落選の結果を受け、支持者を前に「町長の肩書きはなくなるが、これからも町の発展のために精一杯努めていく」と藤巻氏。
投票率、55%台にとどまる
年明けから町内は選挙ムード一色となった。告示前には合同討論会(主催・軽井沢青年会議所)が行われたり、中軽井沢のバーでは、4候補者を一人ずつ招いた対話の会が連日設けられるなど、活発な議論が交わされた。こうした試みにも関わらず、投票率は伸び悩み、2011年に藤巻氏が初当選した際の投票率64%を大幅に下回った。
町の声「何を重視して投票しましたか?」
「軽井沢の森と文化を優先してくれるか」(60代・女性)
「大きな予算をかけた庁舎は、維持費などでも子どもたちに負担を残す」(40代・女性)
「新庁舎は、町民の意見を取り入れてきた結果の値段。他の候補がやってもどこかを削らないと、安くはならない」(70代・男性)
「新庁舎の問題と、樹木伐採等の不動産開発の問題」(40代・男性)
「地域に密着してことを進めるか、住民の声を聞きくみ上げてくれるか」(50代・女性)
「軽井沢の魅力である文化・自然を保全し活かせる人か」(40代・男性)
「G7やG20の誘致は、周囲の首長や県知事らと良い関係を築き、苦労、尽力したからこそ」(60代・男性)