新庁舎・複合施設各屋根60%にソーラーパネル
予算12億円、噴火時の被害や景観の問題も
地下バイパス・駐車場設置は取り消しに
新庁舎や複合施設建設の基本設計案が10月24日、町議会議員らに示され、軽井沢町は基本計画にあった地下バイパスや地下駐車場は設けない方針を打ち出した。
昨年3月の基本方針から事業費が大幅に増加し、基本計画では総額110億円となった。大きな要因の2つが地下駐車場等(約10億円)とソーラーパネル(12億円)の追加だったが、そのうち地下工事を取りやめたことになる。太陽光計画はそのまま維持され、庁舎と複合施設それぞれの屋根60%に設置する予定だ。
プロポーザル審査で最優秀に選ばれた提案には、大規模なソーラーパネルは計画されていなかった。審査員長を務めた町マスターアーキテクトの團紀彦氏は、審査の講評で2等となった提案について、屋根全体がソーラーパネルの設計である点に触れ、「浅間山噴火時に屋根が被弾する危険がある」「周囲の環境との取り合いにぎこちなさを感じた」と噴火時の危険性と景観への影響を指摘した。
実際に2011年の鹿児島県・霧島山の噴火で、噴石により霧島市内の太陽光パネルが破損。2016年の阿蘇山の噴火ではメガソーラーのパネル1600枚以上が割れ、1億円に上る大きな損害を出した。経産省や内閣府による噴火と太陽光パネルに関する調査では、降灰によりソーラーパネルの漏電や停電が報告されている。
また軽井沢町は長野県景観育成重点地域に指定されているため、太陽光パネルについて「斜面上部」「周囲から見通せる場所」への設置は避ける、「反射光を抑える」など位置や材料、植栽など、景観への詳細な配慮が必要だ。
庁舎等のパネル設置について町総務課は、ゼロカーボンシティ実現に向け、公共施設はカーボンニュートラルを目指すことになったと説明している。
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2023年1月の町長選でも大きなテーマとなるであろう新庁舎と周辺整備計画について、今号2ページでこれまでの経緯や基本計画を紹介する。