世界的にも珍しいレオナール・フジタだけの常設美術館がオープン
10月8日にオープンした安東美術館。フランスで活躍し、高い評価を得た日本人画家レオナール・フジタ(藤田嗣治)の作品だけを収蔵する美術館で、実業家の安東泰志さん夫妻が個人的に収集してきた作品約180点から、企画などに合わせて公開する。開館記念特別展では「渡仏」「旅する画家」「ふたたびパリへ」「少女と猫の世界」の4つをテーマに150点ほどを展示。
構想から4年を経て、ようやく迎えた開館。安東さんは「2019年にフランスへ行き、関係者に会って思いを強くした。それまで好きなものを集めていたが、美術館である以上、体系だったものにしなければと思いました。フジタの初期・中期・後期の作品は持っていたが、1930〜40年の端境期・過渡期のものなど幅を広げて収集し、フジタの生涯を時系列で構成できるようになった」と話す。
日本人として大正初期にフランスに渡り、パリの寵児となりながらも、二度の戦争に翻弄され、日本では戦犯扱いにもなったフジタ。その波乱の人生とともに作風は変わっていき、晩年はキリスト教への帰依を表す清らかな宗教画となる。「フジタの人生に触れ、人間は不可抗力で色々なことが起きて苦労もあるが、それを内面化して作風に反映させるところに強く惹かれました。この美術館で人生と芸術の重なりを感じたり、絵を見て和んでもらえれば嬉しい」と安東さん。
同美術館には演奏会や講演会を行うサロン・ル・ダミエやカフェ、ショップなどを併設。入館料一般2000円、高校生以下1000円(未就学児無料)。
安東美術館
水曜休館。10時〜17時(冬季〜16時)、2023年2月中旬まで開館記念特別展を開催中。
軽井沢町軽井沢東43-10 TEL0267-42-1230
(上)第5展示室の赤い部屋。(下)安東泰志さんと恵さんご夫妻。