シュバリエ(騎士)が自在に操る
チーズと野菜に注目
シュバリエ(騎士)が自在に操るチーズと野菜に注目
食べ歩きの師匠と慕う編集Tから、面白い情報を教えてもらった編集E。
「ちょっと珍しい称号を持ったオーナーシェフのイタリアンがあるわよ」
やってきたのは、湯川ふるさと公園近くのイタリア料理「アダージオ」。緑に包まれた軽井沢らしい佇まいで、風を感じるテラス席が気持ち良さそうです。
中山シェフはどんな称号をお持ちなんですか?
[中山シェフ]「フランスチーズ鑑評騎士シュバリエ」です。チーズの伝統を守るため、1954年にフランスで生まれたフランスチーズ鑑評騎士の会から与えられる称号のひとつです。
私もチーズが大好きなんですが、シュバリエになれますか?
んー、ちょっと難しいかもしれませんね。チーズやワインなどの食品や飲食に関する仕事に長年以上携わっていること、美食や食文化についての教養や技術を備えていることが条件になっているからです。
知識と経験が必要なんですね。どうしてチーズに詳しくなったんですか?
フレンチレストランで料理人として働き出し、修業のためフランスに滞在したこともありました。フランスではチーズが日本でいうお漬け物のように身近な存在なんですよ。かつて原宿にあった「ヴァランセ」というレストランで料理長を務めていたこともあるのですが、そこでは様々なチーズ料理を提供していたので、色々と学びました。
どのように料理にチーズを取り入れているのでしょうか。
イタリア産パルミジャーノ・レジャーノをはじめとする、約10種のチーズを使い分けます。うちは塩の代わりにチーズを使うことが多いですね。例えばパスタのソースにチーズを加えることで、優しい味に仕上げながらも旨味やコクを出すことができるんです。
本格的なチーズ料理も食べられますか?
冬季限定で、スイス産ラクレットを使った「ラクレットチーズのオーブン焼き温野菜添え」を出しています。うちの冬の定番メニューですよ。
中山さんは軽井沢町のとなり、小諸市のご出身なんですね。
実家が農家で、土の香りのするトマトやナスを畑でかじったりして育ちました。シェフとして働き出した頃、仕入れた野菜が家で食べてきた野菜と味も香りも違って驚きました。その経験から、納得できる安全な野菜を使うようにしています。
こちらの料理に使う野菜も、中山さんの実家で収穫された有機野菜だそうですね。
これからの季節はグリーンアスパラやズッキーニが届きます。天候や野菜の実り具合によって入荷する素材の種類や量も変わり、数量限定、季節限定のメニューも多いですが、それも畑と直結したレストランならではかと思います。自分で山菜を採りに行くこともありますね。5月下旬には天然の山うどを使ったパスタも登場しますよ。
山うどのパスタ?! 詳しく教えて下さい!!
テーブルに載っただけで、いい香りが漂ってくる!うどはどんなものを使うんですか?
私が毎年山に収穫に行く山うどを使います。力強い香りと独特のほろ苦さは、山で収穫した天然のうどにしかないものです。毎年このメニューを楽しみにして下さるお客様もいます。
ぷりぷりの鯛がおいしそう!
鯛の淡白で穏やかな味わいが、味に変化を与えながらうどの風味をいっそう引き立てるんです。塩の代わりにアンチョビで仕上げることで旨味を加えています。季節の素材をたっぷり使った、旬を感じるひと皿ですね。
シェフが収穫したうどが無くなってしまったら食べられないんですね。メニューに登場したらすぐに食べに来ないと!!
イタリア料理 A'dagio
住所/ 軽井沢町長倉2792-2
TEL/ 0267-41-0228
営業時間/ ランチ 11:30~14:00(LO)
ディナー 17:30~20:30(LO)
定休日/ 木曜日